5Yau NR holderによる5Yauテクニック集

こんにちは。
先日の綾瀬大会で5×5 avg 59.50を出し念願のsub60、5YauNRを取ることが出来ました。
そこで、今の自分の知識をできるだけ公開しようと思いこの記事を書くことにしました。
基本的に5Yauで5×5が解ける人を対象としています。

対面センター

対面センターを揃えるルートは2つあります。

  • 真ん中の1×3→2×3→1面
  • 2×2→2×3→1面

2×2が作りやすいケースやすでに出来ている場合は下のルートで、そうでない場合は上のルートで揃えましょう。
また、1×3のバーは僕は基本的にUw,Utで揃えています。z Rw,Rtのように持ち替えて揃える人もいますがこれは好みでしょう。
その他の細かいテクニックは動画で解説しています。

クロスエッジ

クロスエッジは2パーツの位置によっての解法をあらかじめすべて作っておいて、それを暗記するようにしましょう。
また、最初にウイングエッジ2つをくっつけるよりも、ウイングエッジとミドルエッジをくっつけたほうがスライスムーブを使わずに済むのでなるべくそうしたほうがいいです。
僕は未だにウイングエッジ2つを先に見つけてしまうことが多いのであまり実践出来ていませんが。
その他、反転ペアの処理や、解法が複数あるパターンについては動画にしました。

ラスト4センター

ラスト4センターは基本的に真ん中1×3→左列1×3→右列1×3の順番で揃えるのがいいです。
しかし右列は入れやすいので僕は右から入れることも多いです。
右列を先に入れた場合、普通はRq U2 Rq’で右列を左列に変えます。
しかし右列に入れたままで効率的な手順がある場合はlスライスムーブで1面を作ることもあります。
左列空きの動画

また、2×3を作ったときに隣接面の2×3が作りやすい場合(T字、金魚がすでにある)場合は、1面を作り終わる前に隣接面の2×3を作ります。
対面の2×3が作りやすい場合は無視する場合が多いです。
また、1面を作っている最中に他の面の真ん中1×3が出来ており横向きになっていたら、それを崩さないために縦向きに直しましょう。
ラスト4センターの最中にラストクロスエッジのペア(ウイングエッジx2 or ウイングエッジ+ミドルエッジ)が出来ているのを見つけたら、すでに出来ている1面の隣に置くことでペアの保存ができます。

ラスト2センターも基本的には真ん中1×3→左列1×3→右列1×3ですが、ケースによってはもっと効率的に揃えられるものもあるので、動画にしました。

そして、ラスト2センターの最後にRw U2 Rw’,Rw2 U2 Rw2をする場面が多いですが、これはRt U2 Rt’,Rt2 U2 Rt2でも揃えることが出来ます。
前者と後者で崩れるエッジの場所が違うので、この2つを使い分けることですでに出来ているエッジペアを保存するようにしましょう。

ラストクロスエッジ

ラストクロスエッジは基本的にはUw R U’ R’ Uw’のように、片割れを中段に置いてもう片割れをU面に置き、ずらし→入れ→戻しでペアを作っていきます。
クロスエッジパーツが全て中段に埋まっているバッドケースについては動画で説明します。

裏2エッジ

1つ目のエッジ

まずラストクロスエッジ時にエッジペアがあるかどうかを探しておき、ある場合はまっさきにそれを使ってずらし→入れ→戻しで中段に1エッジを作ります。
ペアが1つもなかったら、僕はuFRウイングエッジを拡張する感じで1エッジを作っています。
1つ目エッジの場合、もしuFRエッジの片割れ2パーツが全て中段に埋まっている場合は、先程のラストクロスエッジの動画の手順がそのまま使えるのでそれを使います。

2つ目のエッジ

2つ目エッジは1つ目エッジの隣接スロットに入っている上側のウイングエッジを拡張する感じで作ることが多いです。
その場合、1つ目エッジ作成時のずらしを戻す際に一緒にエッジペアを作ると効率的です。
また、もしエッジペアを見つけていたらそれを優先的に使います。
ペアを使って中段にエッジを作ることで対角スロットにエッジを作ってしまうことがありますが、その場合はFR,BLに置いてR’をすることで裏2エッジに変換してラスト6エッジを解き、最後にRで戻します。

ラスト6エッジ

ラスト6エッジはテクニックが色々あるので、動画を見てください。
僕の使っている全てのテクニックが説明されています。

3パート

頑張りましょう。
ラスト2エッジを回す前に最初に処理するF2Lのパーツをなんとなく把握しておくといいでしょう。
また、単独パリティが残りそれが中段に入っている場合、F2Lの動きにより単独パリティエッジがU面に出てきた瞬間に処理するように僕はしています。

以上が僕の使っている5Yauテクニックになります。
最後に5Yauのexample solve動画を載せておきます。

この記事を見て5Yauが速くなってくれたら嬉しいです。
5Yauはまだまだ改善の余地があると思うので、みなさんも研究してみてください。

FMCの取り組み方、練習方法

最近PBQに向けてFMCを練習しています。練習しているうちに、自分のFMCの練習方法や取り組み方についての考えをまとめたくなったので記事にしてみました。PBQに出る方もそれ以外の方も参考にしてみてください。

ブロックの最適解を覚える

まずこれが一番重要ですが、コーナーとエッジをくっつけてc/eペアを作る解法、c/eペアとエッジをくっつけて221を作る解法の最適解をできるだけ全て覚えましょう。この最適解は222を作る段階、223を作る段階、F2L-1を作る段階と進むにつれて制限がかかってくるため最適解もそれぞれ違います。これを完全に覚えていれば、手数が多くかかるブロックは回す前に判断できるので手数の多いものを避けることができます。最適解は意識して練習していれば自然と身につくので、常に最適解は何か考えながら練習するといいと思います。

ブロックビルディングとEOスタートについて

次に、ブロックビルディングとEOスタートどちらを選ぶかについてです。これは好みもありますが、1つ言えることはEOスタートに固執してはならないということです。EOスタートは当たればいい解が見つかりますがいいのが全く見つからない時も多々あります。それに対してブロックビルディングは安定して解を出せる傾向にあるので、EOが良くないと判断したらすぐにブロックビルディングに戻りましょう。

参考に僕の探索の順番を載せておきます。

  1. ノーマルとインバースそれぞれペアがあればそこから222を作る。
  2. なければノーマルインバースそれぞれ1手ペアを探す。5手以下222があればそのまま先を探す。
  3. なければノーマルインバースそれぞれEOスタートに移る。EOは3方向全て確認。
  4. EOスタートで、EO+4手以下222がないorあっても先が続かないならブロックビルディングに戻る

練習方法

僕がおすすめするFMCの練習方法は、複数の人が既に解いたスクランブルで練習することです。この利点は、自分が解き終わった後に他の人の解法を見てどの部分を自分は見つけられなかったか、どこを改善すれば良かったかがわかる点です。基本的に自分よりも手数の少なかった解法のみを参考にすると良いでしょう。

以下のサイトは毎週コンテストを行なっているので、今週のではなく今週以前のスクランブル(重要!)を練習すると、他の人の解法をより多く確認できるのでいいと思います。
tribox Contest
Speedsolving.comのWeekly competition
ドイツのフォーラムのコンテスト
Facebookの「Fewest Moves」グループのTheo Leinadが開いているコンテスト

時間配分

大会では1時間という制約があるので時間配分を考える必要がありますが、まずは制限を設けず満足いく解法ができるまで頑張るのが良いです。制限時間を設けないことで新たな発見があることもあるので、大会直前でなければno time limitでやってみましょう。

大会が近づいたら1時間に制限して練習をします。その際に時間配分を考える必要がありますが、自分のインサートにかかる時間から逆算してスケルトン作成の制限時間を決めるのが良いです。一度1回インサート、2回インサートの時間を測ってみましょう。3コーナーの場合「60分-1回インサートにかかる時間」がスケルトン探しにかけられる時間、4,5コーナーの場合「60分-2回インサートにかかる時間」がスケルトン探しにかけられる時間となります。

また、1時間に制限した練習の際は、最初の30分以内に長くてもいいので保険のスケルトンを1つでも見つけておくと安心できます。そして、もし「60分-自分の2回インサートの所要時間」を過ぎたら足掻かずに諦めて保険のスケルトンでインサートを始めましょう。FMCで一番大事なのは「諦め」です。

今回は以上です。
この記事を参考にして是非FMCをやってみてください。
日本でFMCが流行って競技人口が増えることを願っています。

スタックタイマーとcsTimerの繋げ方

こんばんは。

今までずっとスタックタイマーとPCやiPhoneを繋げて計測ができたらいいなあと思っていたのですが、その方法がやっとわかったので備忘録として記事にしておきます。

PC

まずPCとスタックタイマーの接続についてです。

用意するもの

3極というのは端子の種類のことです。それぞれの端子の特徴を表にまとめました。

端子 端子の特徴 性質 備考
2極 黒線が1本 モノラル
3極 黒線が2本 ステレオ PCでヘッドホンとマイクが別端子になっているものはこれ
4極 黒線が3本 ステレオ+マイク スマホは大体これ

僕のPCはヘッドホンとマイクが別端子なので3極のケーブルで繋がりました。もしPCのヘッドホンとマイクが同じ端子の場合、後述する4極-3極変換ケーブルが必要となります。

また、スタックタイマーは端子が2.5mmのため、普通のステレオミニプラグケーブルと繋ぐには2.5mm-3.5mm変換ケーブルが必要となります。

またタイマーについては純正Gen2、純正Gen4、YuXin Timer v2で動作確認済みです。MoYuTimerは繋いでみるとバグが起こって変な動作をしてしまうので使わない方がいいと思います。

接続方法

まずスタックタイマーと2.5mm-3.5mm変換ケーブル、ステレオミニプラグケーブルを繋ぎ、PCのマイク入力に挿します。

次にPCのブラウザでcsTimerを立ち上げ、オプション(歯車マーク)→timer→entering in times withの項目をstackmatに切り替えます。すると「csTimerが次の許可を求めています」というポップアップが出てくるので、許可を押します。最後にスタックタイマーの電源をオンにし、画面に0.00と表示されたら接続成功です。

iPhone

続いてiPhoneとスタックタイマーの接続についてです。

用意するもの

PCと異なる点は、iPhoneの端子がLightningでありヘッドホン・マイクが同端子になっている事です。なので、まずLightningを4極の端子に変換し、さらに4極を3極に変換する必要があります。

接続方法

まずiPhone、Lightning-3.5mmイヤホンジャックアダプタ、4極-3極変換ケーブル、ステレオミニプラグケーブル、2.5mm-3.5mm変換ケーブル、スタックタイマーの順で繋ぎます。4極-3極変換ケーブルはマイクの端子とヘッドホンの端子に分かれていますが、マイクの端子の方に繋いでください。

次にiPhoneの設定→Safari→カメラとマイクのアクセス、をオンにします

そしてブラウザ(Safari)でcsTimerを立ち上げ、PCと同じようにオプション(歯車マーク)→timer→entering in times withの項目をstackmatに切り替えます。すると「csTimerがマイクへのアクセスを求めています」というポップアップが出てくるので、許可を押します。最後にスタックタイマーの電源をオンにし、画面に0.00と表示されたら接続成功です。

もし接続ができなかった場合は、設定のカメラとマイクのアクセスを一度オフにしてもう一度オンにすると接続できるかもしれないです。

ちなみに僕はiPhoneには接続できませんでした。誰か教えて。

以上が接続の方法になります。Androidスマホでは動作確認を行っていないので動くかはわからないです。

FMC Asia 2018 思考過程

先日FMC Asia 2018が開催されましたね。今回はFMC Asiaで僕がどのように考えて回答を出すに至ったかを1つずつ説明したいと思います。

1試技目

スクランブル:R’ U’ F L2 B2 R2 D2 U’ B2 D’ L’ U R2 D2 L U F U’ B2 U L U2 R’ U’ F
インバース:F’ U R U2 L’ U’ B2 U F’ U’ L’ D2 R2 U’ L D B2 U D2 R2 B2 L2 F’ U R

このスクランブルはペアが4つもあり、とても簡単なスクランブルのように思えました。ペアを生かすことを最優先で考えるため、EOスタートは使わずブロックビルディングのみで解こうと決めました。
まずノーマルでF U’ F’ U Lで222+3ペア。そこからF’ U2 F or U2 F R F’ or U2 F R2 F’と考えましたが、premoveが嫌いなのでそれは使わず222からインバースにスイッチしました。するとR2 B U B2で221ができ、R’でさらに221と2ペアができました。そこからB R’ U Bでpremove:Bの15手F2L完成となりました。ただ、LLのエッジの位置からして短いエッジ合わせができないパターンのため、このルートはあきらめました。
次にインバースを見ると、R2 B U B2 R2で222。ここで最後のR2をR’とするとさらに221+ペアができるので、それを生かしR2 B U B2 R’からB’ R’ U’ B U2 Bで11手F2L-1、さらにU L’ U’で14手F2L完成。最後に6手OLLを回してB D L D’ L’ B’ Lで21手L3Cとなり、とりあえずバックアップとして置いていきました。
次にインバースで先ほどのR2 B U B2からF U’ F’ U Lで別の222を作り、R’ B’ R’ U’ Bでpremove:Bの15手F2L完成。しかしこれもエッジの位置が悪く不採用。
続いてインバースのR2 B U B2 R’をノーマルにスイッチし、F U’ F’ Uすると221が3つとペアができます。そこからB2 R B Lで13手F2L-1、もしくはB’ L B’ R Bで14手F2L-1。ペアが2つあるのでよさげでしたが、どちらもL3Cにすることはできなく断念。
ここで40分強が経過していたので、早めにバックアップのインサートをしておこうと思い、21手L3Cのインサートを行いました。結果は2手キャンセルの27手。しかしこのスクランブルならもっと短くできるはず!と思い、インサート後もスケルトン探索を行いました。
インバースに戻り、R2 B U B2からのR’ B’ R’ U’ B2でF2L-2+2ペアはすでに見つけていましたが、R’ [L’] B’ R’ U’ B2とシングルインサートをするとF2L-1エッジとなることに気づきました。ここからL’ F U F’でF2L-1とEOを揃え、L2 U’ L2 U L’で19手L3Cとなりました。ここで残り8分だったため、急いでインサートを行い2手キャンセルを見つけて25手、これを最終回答としました。実はインサートの途中で時間が無くなり最後まで探せてなかったのですが、後で調べたところoptimalだったのでホッとしました。

Solution:
(R2 B U B2) // 221
(R’ L’ B’ R’ U’ B2) // F2L-1edge
(L’ F U’ F’) // F2L-1
(L2 U’ L2 U L’) // L3C

sk:L U’ L2 U L2 F U F’ L B2 U % R B L R B2 U’ B’ R2
%:[B2 R F’ R’ B2 R F R’]

ほかの参加者の記録を見ると、22手が2人、23手が4人とやはり簡単なスクランブルだったようでした。

2試技目

スクランブル:R’ U’ F D B2 U2 L2 D2 R2 D B2 F U F2 U R D2 B’ R’ F’ U L B R’ U’ F
インバース:F’ U R B’ L’ U’ F R B D2 R’ U’ F2 U’ F’ B2 D’ R2 D2 L2 U2 B2 D’ F’ U R

まず始めに既にあるペアを生かしU2 L2 F2 D2で4手222。そこからペアを生かしてU F2 L F L、もしくはF’ U2 L U’ Fで223。しかしどちらも微妙だったので早々に切り上げてEOスタートに切り替えました。
F-B軸EOは4EO、R-L軸EOは6EOでU-D軸EOは探していません。R-L軸EOは5手かかるので、4手でできるF-B軸EOを採用。F-B軸EOの解は以下の6つ。
EO: U’ D R F or F’, D R U’ F or F’, F2 D L F or F’
またインバースのEOについても先に探しました。インバースもF-B軸EOのみを採用。インバースのEOは以下の通り。
inverse EO: D U’ L F or F’, R2 D’ L’ B or B’, D’ L’ R2 B or B’
これらを1つずつ順番にやっていきます。
まずノーマルのEO:U’ D R F。ここからL F2 L2とすると123ができ、さらにB2 U’ L U2で223。ただここからつながらなかったので不採用。
次にノーマルのEO:D R U’ F。L D R2 F2でやはり123ができ、L’ U2で223。しかしペアはあるがつながらなかったため、123後をL D L2 U2と変えて223+221を作ったがやはり続かないので不採用。
続いてインバースのEO:D U’ L F’。ペアが2つあるので良さそう。 D L2で221、F2 U’ Rで123、U R’ U2で223。ここからD’ L’で簡単にF2L-1が作れ、D2 L’ D2 L D2 L’ D’ L D2でペアを保存しつつ23手L3C。これをバックアップにしました。
ここで先ほどの223からノーマルにスイッチすると、D L’ D2 Lで221、D2 L’ D L D’ L Dで先ほどと手数の同じ23手L3Cになりました。時間があったのでこれら2つのスケルトンを両方インサートすると、前者が2手キャンセル29手、後者のノーマルにスイッチしたほうが3手キャンセル28手だったので後者を採用し、これを最終回答としました。

Solution:
(D U’ L F’) // EO
(D L2 F2 U’ R) // 123
(U R’ U2) // 223
D L’ D2 L // more 221
D2 L’ D L D’ L D // L3C

sk:D L’ D2 L D2 L’ D L D’ L D U2 R % U’ R’ U F2 L2 D’ F L’ U D’
%:[R2 U’ L2 U R2 U’ L2 U]

このスクランブルは本当に難しかったです。223+EOは10~12手でできるのですが、そこから続かない・・・。ほかの国の人の手数もよくて26手だったため、まあ健闘したかなという感じです。

3試技目

スクランブル:R’ U’ F D2 F2 U2 B D2 R2 D2 U2 B F R’ D B F D2 F’ U B D2 R’ B2 R’ U’ F
インバース:F’ U R B2 R D2 B’ U’ F D2 F’ B’ D’ R F’ B’ U2 D2 R2 D2 B’ U2 F2 D2 F’ U R

まずブロックビルディングで始めようとしましたが何も見つからなかったのですぐにEOスタートに切り替えました。
F-B軸EOを調べると、なんと3手![F or F’] D [B or B’]でEOができました。続いてR-L軸EOを探すとF’ [R or R’]のなんと2手!これはEOスタートやるっきゃない、と思い1つずつ探していきました。
まずEO:F D B。U D L Dでpremove:F2の222を発見。ここでEOのF D BをF D B’にしても同じ222ができると気づき、F D B’ U D L D(premove:F2)をしてみるとペアが2つできています。ここからL2 B2 L2 B2でF2L-2を作り、L’ U L2 U’ Lで17手L5Cを得ました。これをバックアップとしておきます。
この222には可能性を感じ、222からインバースにスイッチしてみました。すると、F2で222を作った後、B2 L2 B2でF2L-2、L’ U L2 U’ L’で16手L4Cとなりました。ここでURFコーナーを見ると赤黄青コーナーが入っています。これ、F2L-2を作った後R2した状態で同じようにL’ U L2 U’ L’としR2で戻すとダブルキーホールで先ほどのコーナーが揃い、18手L3Cとなりました!まだ時間はありますが、これ以上のスケルトンが見つかる可能性は低いと思ったので早めにインサートを始めました。2手キャンセルでmeanNRタイ、3手キャンセル以上でNR更新です。結果は・・・・・1手キャンセル25手。人生甘くない。
その後、ほかのEOについても探しました。まずEO:F’ D B。ここからR Uで222、D’ R’ B2 R B2で223ですがその後パリティの闇に飲まれて断念。
続いてEO:F’ D B’。これも先ほどと同じくR Uで222。ノーマルは続かなかったので222からインバースに切り替えて、D’ R’ L’ D L Rで223+221。ペアはあるが何も続かず断念。
続いてR-L軸EOの2手EO、F’ R。ノーマルでは何もなかったのでEOからインバースにスイッチすると、D B’ U’ Bで222とさらに221もできました。そこからF’ U’ FでF2L-2+ペア、R2 D R2 D’でF2L-1、U R2 U’でエッジを入れてF’ U2 B U B’ U F R2でごり押し22手L3C。さすがにこれで24手以下は出せないのでインサートはしません。
続いて先ほどのインバースの222:D B’ U’ Bをノーマルにスイッチしました。そこからF’ R2 U’ F’ U F2でF2L-1、しかし最後が続かず断念。
ここで時間が来てしまい、最初に見つけた25手を最終回答として提出しました。

Solution:
F D B’ // EO
U D L D (F2) // 222
(B2 L2 B2) // F2L-2
(R2 L’ U L2 U’ L’ R2) // L3C

sk:F D B’ U % D L D R2 L U L2 U’ L R2 B2 L2 B2 F2
%:[U2 F D2 F’ U2 F D2 F’]

このスクランブルはEOが神がかってましたね。222+EOが5手でできたときは驚きました。ただ最後の詰めがどうしてもうまくいかずNR更新とはなりませんでした。やっぱりFMCは難しい。

FMCにおけるEOについて(加筆修正版)

この記事はSpeedcubing Advent Calender 2018 5日目の記事です。
4日目の記事は@sajiminxさんの「5x5speedにおけるラスト4エッジ解法について」でした。

今回はFMCにおけるEOを使ったテクニックや考え方について紹介します。
以前にもAdvent CalenderでEOの記事を書いたことがあるのですが、説明が少なくわかりにくかったため今回加筆修正を行いより多くのテクニックを書こうと思います。

EOとは?

まず、FMCにおけるEOについて説明します。
EOとは、ある向きに対してエッジが反転しているかどうか、のことを意味します。
反転というのは、BLDにおける単独エッジ反転ではなく、そのエッジがU,D,R,L回転のみで正位置に戻すことができるか、ということを指します。
例えば、

  • あるエッジが反転していなければ、そのエッジはU,D,R,L回転のみで正位置に戻すことができます。
  • ・あるエッジが反転していれば、そのエッジはU,D,R,L回転のみでは正位置に戻すことができず、F,B回転が必要となります。

また、そのエッジが反転しているか否かを判断するためには以下の方法を用います。

  • U,D面色のあるエッジがU,D面にある場合、エッジのU,D面色ステッカーがU,D面を向いていれば反転なし、R,L,F,B面を向いていれば反転
  • U,D面色のあるエッジが中段にある場合、、エッジのU,D面色ステッカーがF,B面を向いていれば反転なし、R,L面を向いていれば反転
  • U,D面色のないエッジがU,D面にある場合、U,D面を向いているステッカーがF,B面センターと同じ色なら反転なし、R,L面センターと同じ色なら反転
  • U,D面色の無いエッジが中段にある場合、F,B面を向いているステッカーがF,B面センターと同じ色なら反転なし、R,L面センターと同じ色なら反転

例を見てみましょう。
スクランブル:U L2 F2 L2 F2 D2 R2 D' L2 U' F2 R' D2 B2 U' B' L B2 F D' R2
U面白、F面緑でEOを考えます。
まず、UFエッジである青黄エッジは、D面色である黄色がF面を向いているため反転。
次に、UBエッジである青橙エッジは、U,D面色がなくU面を向いているステッカー橙がL面センターである橙と同じ色のため反転。
と、このように考えていきます。ちなみにこのスクランブルでU面白F面緑の場合、UF,UR,UL,UB,FL,BL,BR,DLエッジが反転しています。

EOを解消するとその後少ない手数でコーナーエッジペア(c/eペア)が作れることが多く、のちの繋がりがブロックビルディングよりも良いことが多い、とわかっています。そのためFMCではEOを早めに解消することが重要となってきます。

EOは3方向ある

先ほどはU面白、F面緑でEOを考えましたが、向きを変えてEOを調べると反転の箇所が全く違ってきます。
試しにU面白、F面赤で、先ほどのスクランブルでEOを考えてみましょう。
キューブをy持ち替えして考えてみてください。
まず、ULエッジである青黄エッジは、D面色である黄色がF面を向いているため先ほどと同様に反転。
次に、URエッジである青橙エッジは、U,D面色がなくU面を向いているステッカー橙がB面センターである橙と同じ色のため先ほどとは違い反転なし。
このように、向きを変えると反転の箇所は異なってきます。ちなみにU面白F面赤の場合、y持ち替えした状態でUF,UL,UB,BR,DR,DBエッジが反転しています。

EOには3方向あると見出しにも書きましたが、3方向というのはF-B軸EO、R-L軸EO、U-D軸EOの3つです。F-B軸EOが先ほどのU面白F面緑のEO、R-L軸EOが先ほどのU面白F面赤のEOとなります。ではなぜ3方向のみなのか?キューブの持ち替えのパターンは24通りあるではないか、と思うかもしれませんが、F-B軸であるF面緑B面青、もしくはF面青B面緑はz回転をしても反転の位置は変わらないのです。なぜなら、EOとは特定のエッジをU,D,R,L回転のみで正位置に戻せるかどうかというのが定義であり、U,D,R,L回転はどんなにz回転してもU,D,R,Lのままだからです。そのため、EOは3方向見ればそれで全パターン網羅できる、ということです。

このようにEOには3方向あるため、実践では3方向全て調べその中から一番良さそうなのを選ぶのが良いでしょう。特にU-D軸EOはUD色が変わってくるため探しづらいですが、頑張って探しましょう。僕もいまだに苦労しています。

EOを解消するには

EOの解消方法ですが、U,D,R,L回転によって反転パーツをF面 or B面に集めF or B回転をして解消するのが基本です。
例を見てみましょう。
スクランブル:F' U' R B R' F U' B U R2 D' L2 B2 L2 D L2 D2 B2
U面白F面緑でEOを調べると、UL,BR,DR,DLエッジが反転していることがわかります。反転エッジをF面 or B面に集めるのですが、F面に反転エッジがないためB面に集めることを考えます。この場合U L Dで反転エッジを順々にB面に集め、B or B’で反転を解消するのが最適解です。反転エッジが4つの場合はそれぞれをF面 or B面に集めればいいだけなので割と簡単です。
Solution: U L D B or U L D B'

続いてもう一例。
スクランブル:U F D F L U2 L B2 D L' D2 L2 F L2 D2 B U2 R2 U B
U面白F面緑でEOを調べると、UR,BLエッジの2つが反転しています。この場合、あえてB’することでBLエッジの反転を解消しUB,BR,DBエッジを反転させ、反転の個数を4個にしています。その後U’し反転エッジをB面に集めB or B’で反転が解消できます。このように反転エッジの個数が4の倍数ではない場合は、反転エッジを1個または3個 F面 or B面に持っていきF or Bをすることで反転エッジの個数を4の倍数にします。
Solution: B' U' B or B' U' B'

EO解消の解法は複数ある

先ほどはEOの解消方法を説明しましたが、反転エッジの場所によっては解消方法が複数あることもあります。
その一例がこちら。
スクランブル:R' U' F R' B2 R D2 F2 L D2 F U2 B' D2 U2 F R' U F2 L U2 R' U' F
U面白F面緑でEOを調べると、FR,FL,BL,DFエッジが反転しています。この時反転エッジをF面に集める方法は2通りあります。L U’ L’とL’ U’ L’です。FLエッジをUFに入れるか、BLエッジをUFに入れるかで変わってくるわけです。
Solution:
L U' L' F or L U' L' F'
or L' U' L F or L' U' L F'

もう一つ面白い例をあげます。
スクランブル:F' U R U2 L' F2 U' R F' U2 D2 B U2 F' D2 L' F2 D2 R' B2 R F' U R
U面白F面緑でEOを調べると、UB,UL,FL,DBエッジが反転しています。これらをB面に集める方法は、L’ B2 L’,L2 B2 L,U R L2,L’ U R,F2 L R2の5種類あり、F面に集める方法はD2 U2 R’,U2 R’ D2の2通りで、同じ手数で計7通りものEO解消方法があります。
Solution:
L' B2 L' B or L' B2 L' B'
or L2 B2 L B or L2 B2 L B'
or U R L2 B or U R L2 B'
or L' U R B or L' U R B'
or F2 L R2 B or F2 L R2 B'
or D2 U2 R' F or D2 U2 R' F'
or U2 R' D2 F or U2 R' D2 F'

このように、EO解消には最適解が複数存在する場合があるため注意が必要です。まあ7通りも方法があったら全部試すのは無理なので、EO解消後にc/eペアがあるもののみを重点的に探すのがいいと思います。

両方向EO

両方向EOとはノーマル、インバースの両方からEOを解消していくといったものです。
わかりにくいので例をあげます。
スクランブル:R' U' F L2 R2 U2 B2 L2 U' B2 D L B' U B' D2 F' L' F U' R D R' U' F
インバース:F' U R D' R' U F' L F D2 B U' B L' D' B2 U L2 B2 U2 R2 L2 F' U R
まずインバースの状態を確認すると、U面白F面赤のEOですが、U面白F面緑から見てUB,UL,BL,FL,FR,DR,DB,DLエッジが反転しています。ここでL面の橙面には反転エッジが4つあるためLで4つの反転を解消します。続いて残り4エッジはU BでF面に集められるので、L U B Rの計4手でEOが解消されます。しかしそうせずに、Lした後にノーマルにスイッチしてみてください(つまりpremove:L’をつけてノーマルを実行)。ノーマルにスイッチするとU面白F面赤のEOは、U面白F面緑から見てUF,BL,DF,DLが反転していることがわかります。これは、ノーマル(インバース)にスイッチしても反転エッジの個数は同じであるが位置は違ってくる、といった性質を利用しています。そしてU FすることでB面に反転エッジを集めることができ、Lすることでこれも計4手でEOを解消させられます。
Solution: (L) U F L

このように、部分的にEOを解消してからスイッチして全部のEOを解消させる、といった方法を両方向EOと呼んでいます。普通にやってもEOが5手以上かかるケースも、両方向EOを使えば4手以内に収まることもよくあります。F,B面に初めから反転エッジが4つあった場合、それらを直してからスイッチしてみるのもありだと思います。

EO後の2x2x3の優劣

EO解消した後2x2x2を作り2x2x3を作るという流れが基本ですが、2x2x3の作られた場所によってその後の繋がりやすさが大きく変わってきます。
F-B軸EO解消後にDLBコーナー周りに2x2x2を作った時、その後の2x2x3の場所として3パターンあげられます。

F面に拡張した場合 R面に拡張した場合 U面に拡張した場合

このうちその後の繋がりが一番いいのはF面拡張の2x2x3です。理由は、EOを崩さないU面とR面が自由に回転できるからです。残りのエッジはU,R回転のみで揃うため、簡単にスケルトンを作ることができます。
残りの2つですが、この2つは同一パターンとしてみなせます(にっけんさんに指摘されて初めて気づきました)。R面拡張の2x2x3の場合はDRFコーナーまたはDLFコーナー周りに2x2x2を作るとEO無しのF2L-1が作れますが、URBコーナーまたはULBコーナー周りに2x2x2を作るとEO有り(時にはエッジ全反転)のF2L-1になってしまう可能性があります。同様に、U面拡張の2x2x3の場合はULFコーナーまたはDLFコーナー周りに2x2x2を作るとEO無しのF2L-1が作れますが、URBコーナーまたはDRBコーナー周りに2x2x2を作るとEO有りのF2L-1になってしまう可能性があります。
これらを総合すると、F-B軸EOの場合はF,B面に、R-L軸EOの場合はR,L面に、U-D軸EOの場合はU,D面に2x2x2を作って2x2x3にするとその後が2genでエッジを揃えられるため、できるだけそのような2x2x3を作れたほうがいいです。また、そうでない2x2x3を作った場合、次の2x2x2を作る場所を慎重に決めることが重要でしょう。

Domino Reduction

さあ、ここからは最新のFMCテクニックの紹介です。
Domino Reductionとは、初めにCO,EOを揃え、かつ中段全てに中段パーツが入っている状態を目指し、そこから[U,D,R2,L2,F2,B2]のみを使って完成まで揃えていく、といった解法です。[U,D,R2,L2,F2,B2]のみで揃えるという部分が3x3x2(Rubik’s Domino)の解法と同じであることから「Domino Reduction」と呼ばれています。この解法、実はコンピュータが短い解法を出力するプログラムで使われている解法と全く同じものなのです。つまり、コンピュータがやっていることを人間もやってみたら短い解法が導き出せるのでは?という発想から生まれたものです。

一つ例を紹介します。
スクランブル:R' U' F U2 R2 U2 F L2 F2 D2 L' D2 F U L D F' L' B D' U2 F R' U' F
インバース:F' U R F' U2 D B' L F D' L' U' F' D2 L D2 F2 L2 F' U2 R2 U2 F' U R
まずインバースでR’ B’ D’ LでR-L軸EOを解消させます。続いてノーマルにスイッチしD B D L2 F D’ FでCO,EO,中段を揃えます。これで1ステップ終了です。
ここからは[U,D,R2,L2,F2,B2]のみで揃えます。まずL2 F2で2x2x1を3つ作り、D’ B2で2x2x2を作ります。続いてU’ F2 L2 Uで2x2x3とコーナーを揃え、最後に[U’ L2 F2 L2 U’ L2 F2 L2]のエッジ5点交換(!)を行えば完成です。
以下にその解答を書き下します。(カッコ内はインバース)
Solution:
(R' B' D' L) // EO
D B D L2 F D' F // domino
L2 F2 // 3x 1x2x2
D' B2 // 2x2x2
U' F2 L2 U // finish corners
U' L2 F2 L2 U' L2 F2 L2 // solve l5e

・・・ね、簡単でしょ?
というわけのわからない解法がDomino Reductionなのです。正直Dominoにする過程も運だろうし、Dominoから先をスマートに揃えていけるかも運なんですよね。これを人間が全てのソルブで使うことは無理だと僕は思います。ただ、EO後に中段やCOがめっちゃ揃ってるような時にはDominoを考えてもいいかもしれません。

PDR (Partial Domino Reduction)

先ほどはDomino Reductionは人間には無理だと言いましたが、それを人間にも可能にさせたのがPDR(Partial Domino Reduction)です。つまり、COを全部揃えなくてもいいからできるだけ揃えて擬似Dominoを作り、そこから[U,D,R2,L2,F2,B2]のみで揃えることでコーナーを残したスケルトンを作ろう、といった発想から生まれたものになります。

これも例を見てみましょう。
スクランブル:R' U' F L2 U2 B' L2 F' U2 B L2 B R' B2 L U B L2 B' D' F2 R F R' U' F
まずノーマルでD’ R’ U’ FによりF-B軸EOを解消します。続いてLで中段のFL,BLエッジを入れ、R2 U RでFR,BRエッジを入れます。これで中段は完成したのでPDR1ステップ目終了です。UBR,UBL,DFR,DBRコーナーがCOしており残り4コーナーは揃っているのでこれをPDR4と呼びます(4は揃っているコーナーの数)。ここからD F2 D2 B2とすることでブロックを作り、U2 L2 D R2 Uで残り5コーナーのスケルトンに持ち込みます。
以下にその解答を書き下します。
Solution:
D' R' U' F // EO
L R2 U R // PDR4
D F2 D2 B2 // CORNER LINE+ EDGE LINE
U2 L2 D R2 U // AB5C

PDRでの一番の難関はPDR後のスケルトン作りだと思います。PDR自体はDominoよりもはるかに作りやすいので苦労はしませんが、その後どう続けるかは運とブロックビルディングの力に依存します。やはりこれも毎回PDRを使っていくのではなく、PDR後が続きそうなときのみ採用し、ダメそうだと思ったら早めにブロックビルディングに戻ったほうが無駄な時間を使わずに済みそうです。
ちなみにPDRを使った解答例をまとめたドキュメントがあるので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。→リンク

終わりに

ここまでEOについての色々なテクニックを紹介してきました。しかし、1つ言えるのは「毎回EOを使うのは必ずしも得策ではない」ということです。2018アジア大会の3試技目、暫定1位だったWong Chong WenはEOに固執したせいで時間オーバーでDNFとなり、EOを使わなかった自分が優勝しました。EOに固執し続けるのはやはり良くなく、これは無理だと判断したら即座にブロックビルディングに切り替えるべきだと思います(切り替えの判断も難しいところですが・・・)。ただ、EOには未来があります。先日更新されたFMC単発WR18手もEOスタートによるものです。なので僕は、まずEOスタートで始め、いいのがなければブロックビルディングに切り替えるという方法で最近はやっています。もちろんブロックビルディングでも2x2x2や2x2x3からEO解消を試みることもしています。何が正解か、というのはなく、自分の方針を一つ決めてそれに従ってやってみるのがいいと思います。

それでは良いFMCライフを!